JP — LARRY ROMANOFF — プロパガンダとメディア ― さあ何か嘘を報じようではないか ― 第5編 — June 13, 2021

プロパガンダとメディア ― さあ何か嘘を報じようではないか ― 第5編

翻訳者:Yocchan-San

21世紀のメディアに囲まれて毎日を過ごすわれわれ現代人は、好むと好まざるとにかかわらず、さまざまな情報に翻弄され、騙され、誤導され、あるいは、洗脳されて生きている。しかしながら、洗脳されているというはっきりした自覚はない。しかも、まったくのでっち上げであることも決して少なくはないのである。そんな印象をお持ちの人は決して少なくはないのではないか?

2001年に起こった9/11同時多発テロ事件については、20年も経過した今でさえも、世界貿易センタービルが崩落した原因がいったい何であったのかが究明されてはおらず、ひとつのでっち上げられた筋書きだけが公に独り歩きし、そのまま放置されている。あの事件以降、こういったでっち上げ事件が頻繁に起こっているように思えて仕方がない。例を挙げると、シリアにおける政府軍による化学兵器の使用、ウクライナでのマイダン革命、マレーシア航空MH-17便撃墜事件、米大統領選における選挙不正とロシアゲート、スクリッパル父娘毒殺未遂事件、ナヴァルニー毒殺未遂事件、等々。それとも、こういったでっち上げ事件の出現頻度は以前とはそれ程変わってはいないけれども、9/11事件以降、われわれ一般大衆は学習効果によって世間の出来事の背景にある本当の姿を以前よりも正確に見通すことができるようになったということであろうか?まだその正体がはっきりとは見えないにしても、新型コロナウィルスの大流行さえもが同じ範疇に入りそうな気がしてならない昨今である。

ここに「プロパガンダとメディア ― さあ何か嘘を報じようではないか ― 第5編」と題された記事がある(注1)。この表題は西側の大手メディアの所有者あるいは編集者の言葉として何処でも、そして、何時でも聞こえて来そうな感じがする。幸か不幸か、歪曲された情報が溢れている現在のメディアの姿を上手に描写しているように思う。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

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以前書いたいくつもの記事においてわれわれは自分たちが想像できる限度を遥かに超えてまったくの虚報に曝されていると私は主張してきた。つまり、何らかのニュース性が高い出来事が現れた際には実際に起こったことではないことを報じたり、実際の出来事とは似ても似つかない記述をしたりする記事が少なくはないのである。

もっとも広く用いられている手法は出来事をでっち上げることだ。通常、それは何らかの形の血生臭い状況の描写であったり、何の関連性もない写真を証拠として持ち出して読者を誤導しようとする。CNNはこの種の手法でひどく有名だ。読者から挑戦を受けると、彼らは次の二つの返事のどちらかを用いる。(a)「オーケー、われわれは写真に間違った説明書きを付けてしまったようだ。大したものだ。」あるいは、(b) たいして重要じゃない。この写真には編集上の関連性があったんだ。」しかし、こういった返答はけっして偶然のことではない。むしろ、でっち上げのストーリーには格好の言い訳として機能し、米国や西側の一般庶民の無知さ加減にうまく相乗りしているのである。

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良く知られている数多くのストーリーのひとつは貧しいチベット人を残忍に扱う(またしても)中国警察に関するものだ。しかし、写真を詳しく調べてみると、警察官も「犠牲者」も中国人やチベット人ではなく、なんと警察官は明らかにネパール警察の制服を着ている。CIAが提供したこれらの動画や写真は世界的に反中国感情を煽るためにディズニーの台本によってプロパガンダ用にでっち上げたものであった。まさに全体がハリウッド製のアクション映画の一場面だ。伝えられているような出来事は実は皆無であった。

トリミングや切り貼り:

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一目見ただけでも、この写真は単純にトリミングをしただけであって、複数の筋書きを可能とすることを明白に示している。たとえ写真そのものが演出されたものだったとしも、あるいは、本物であったとしてもお構いなしである。

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この写真はスタジアムの空席を観客で埋めている。米国(CNNやホワイトハウス)は自国の高官が国連の空席が目立つ会場でイデオロギー満載の演説を行った際には切り貼りを行って満席にした会場の様子を報じることで有名である。ホワイトハウスは、時には、これとまったく逆のことも行う。つまり、イラン大統領が満席の会場で演説をしている写真には空席が目立つ会場の写真を埋め込む。西側のメディアは「真実を報道する義務はない」ことを皆さんは覚えておいて貰いたい。

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もっと有名な写真のひとつとしてタフリール広場 [訳注:「タフリール広場」はエジプトのカイロにある広場であることから、これは間違い。バグダッドの中心部にある広場は「フィルドス広場」と言う] でサダム・フセインの像を倒し、表面的にはイラクを独裁者から解放したことを祝っている場面がある。CIAとペンタゴンが提供したトリミングされた写真と動画によると、何人ものイラク人が像に結び付けられたロープを引っ張り、ついには像を引き倒してしまった。これは馬鹿げた茶番ではあったが、大成功を収めた作り話であった。人々は広場から追い払われて、クレーンが運び込まれた。このクレーンから像にロープが掛けられた。それから、一群のイラク人がロープを引っ張り、クレーンは像を押しやって、台座から外してしまった。この時点で何百人もの混乱したイラク人たちは報酬を与えられている予定の行動をとることになった。つまり、倒された像に拍手喝采を送ったのである。もうひとつのハリウッド製のストーリーではあるのだが、これはまさに米国の軍隊がイラクを破壊することは名誉ある行為であるとする一部の米国人を明らかに満足させた。

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関心を呼ぶもうひとつの件は9-11同時多発テロの犯行責任を主張しているとされるビン・ラーデンの写真や動画である。これは全体が作り話であって、CIAがビン・ラーデンのそっくりさんを使って演出したものであったのだが、これはイラクへ武力侵攻し、その資源を収奪するべきだと考える米国人のほとんどを満足させた。そして、イラクがビン・ラーデンとは何の関わりもないという事実は完全に無視されたのである。

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これと関連することとしては「ビン・ラーデン危機管理室」の写真だ。これはホワイトハウスの職員が特別衛星中継を使ってビン・ラーデンを殺害するという「不思議な国のアリス」的な物語を視聴している様子である。この主張は「まったく馬鹿げており、技術的にも不可能だ」として専門家によって速やかに否定されたが、オバマ大統領は後になってこの写真は演出されたものであったことを認めた。だが、ほとんどの米国人はこのストーリーを信じ込んだ。マスメディアのファイルにはこのように誤って伝えられた出来事が無数にある。

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これらの偽情報によるプロパガンダの中で大成功に終わったストーリーはなんと言っても「天安門広場の虐殺」である。多分、これは決した起こらなかった出来事の中ではもっとも有名なものであろう。そう、私はこれらの写真をじっくりと眺めた。北京については僅かの知識しか持ち合わせてはいない人であってさえもこれらの写真は天安門で撮影された写真ではないことがお分かりだろう。これらは完全に関連性のない出来事であって、一連のテロリストに対する策はCIAによってお膳立てされ、在北京米国大使館が協力したものである。

後者の主張に関する証拠としては、あの実に暴力的なエピソードの指導者らは北京を立ち去ることが出来ずに、逃避場所として米国大使館に助けを求めた。中国政府のメディアは何週間にもわたってこれらのテロリストを匿う米大使館に彼らを手放すよう強く求めた。しかし、そんな風に物事が運んだわけではなかった。つまり、米国は彼らを速やかに、しかも、密かに中国から運び出す手段を見い出し、怪我人も出さなかったのである。あなたが自分の目で見ておくべきだった写真は天安門広場の写真ではなく、むしろこれらのテロリストが実行した暴力沙汰に関する写真である。これらは軍隊が導入された時の写真だ。これらの写真には何人もの若い兵士が焼死した出来事も含まれている。このストーリーは今日であってさえも驚くべき内容であって、ほとんど信じ難い程だ。全体としては100パーセント嘘であったのだが、プロパガンダとしては大成功であった。それ故に、西側のメディアはそれ以降30年間以上にもわたって毎年のように成功の記憶を新たにしている始末である。

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あの夜スペインのテレビ局のチームが一晩中広場に居り、人々が広場から完全に排除される様子を撮影していたという事実は深く埋没されたままで放置されていた。この記録フィルムは30年以上にもわたって酷く抑圧され、今になって初めてインターネット上で入手可能となった。しかしながら、人々の記憶や確信の念に何らかの影響を与えるには余りにも遅すぎた。本件について私は徹底して記録や資料を駆使し、微に入り細にわたって詳述した。本件を取り扱った記事の中では、少なくとも英語圏においては、私のこの記事は一般的にもっとも良く受け入れられていると思っている。もしもご興味がおありならば、こちらでその記事を読むことが可能。(1) [訳注:超多忙な読者の皆さんのために簡単に触れておこうと思う。この参照サイトに掲載されている「Tiananmen Square: The Failure of an American-instigated 1989 Color Revolution  Beijing: June 04, 1989」と題された参照記事を覗いてみると、数多くの今まで知らなかった事柄が浮かび上がって来る。少なくとも私にとっては「目から鱗」のような感じだ。モロトフカクテルによって焼死した兵士たちの写真が何枚も収録されている。中国のTVはスペインのテレビ局チームが撮影したビデオを紹介し、「これはあの夜の午前4時から午前7時までの歴史の闇となっていた部分に光を当てている」と述べて、評価した。] 今日においてさえも、ワードプレスやグーグルのブロガーといったブログサイトではこの1989年の出来事に関わる写真の掲載は許可しようとはしない。この現状はこの事件に関してはかなり厳しい検閲が今でも続いていることを示している。私はここに今までに決して見ることがなかった3枚の写真を掲載する。これらは米国のテロリストが北京で繰り広げた血生臭い出来事のひとつである。何千個もの火炎瓶が放り投げられ、何人もの兵士が焼死した。確かに、1989年6月4日に北京では事件が起こった。しかしながら、その詳細情報はことごとく抑圧されている。それに代わって、事実を説明するとは到底考えられないような写真を添えて、世界中のメディアが偽りのストーリーを喧伝しているのである。この出来事の背景にある権力が実現しようと試みたことは見事に達成されたと考えることはあなたご自身の思考のためには実にいいことだと思う。

中国のジャスミン革命:

多分、われわれは自分が読んでいることについては時には信じてやるべきだと言うのは興味深いことであろう。もしくは、これがわれわれのことではなく、ホワイトハウスに巣食っている精神病質の連中のことであれば、これは国民に対する中国政府の強い立場に関することとなってくる。世論調査は中国国民の90~95%が中国政府や指導者に強い信頼感を抱き、彼らを尊敬していることを繰り返して示している。このことに関しては、中国は世界でも最高ランクにあり、米国は最下位にある。我々の目標については2011年1月に行われた世論調査が当時広く報じられた。その報道においてエコノミスト誌の記事は「中国国民の間では戸惑いを覚える程高い割合の人々が自分たちの政府について幸せに思っている」と言って、嘆いているのである。

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しかしながら、2011年、これらの世論調査結果を信じようとはしない米国によって設立されたわれわれの「国際ギャング陰謀団」(ICG)は中国国民に対してジャスミン革命を企てた。その当時、中国全土のソーシャルメディアはCIAの「靴下で作った人形」[訳注:中に手を入れて人形を操る点がミソ。つまり、ここでは活動家を指している] が中国国民の全員に向かって「残虐で独裁的な」中国政府に対して抗議をするように求め、呼びかけの言葉が溢れていた。集会を持つことを呼びかけられ、13の大都市で集会が開催された。しかしながら、最大の焦点は北京での集会に向けられ、北京では王府井 [訳注:ダウンタウンの大規模ショッピング街] 地域に大至急集合し、「平和的な抗議」を行うよう求めた。米国人にとっては極めて不幸なことに、中国人はそういったことには無関心であって、集合場所には通常の買い物客以外には誰も現れなかった。だが、たったひとりの参加者があった。それは当時米国大使であったジョン・ハンツマンだった。彼は自分が行った手仕事の成果(成果なんて何もなかったが)を確認するためにやって来たのであった。ハンツマンは群衆によって直ちに正体を見破られ、抗われ、からかわれて、彼は自分の身を守るためにその場から逃げ出した。(2)

中国でカラー革命を引き起こそうとする企ては惨めな失敗に終わったが、ニュースをひとひねり、あるいは、ふたひねりもすることに慣れ切った連中にとってこの失敗は小さな後退を意味するものでさえもなかった。CNNが幾つかの写真に「間違った」説明を付けることが可能であるとすれば、彼らよりも遥かに良質の人的資源に恵まれている米国大使館やCIAはもっと立派な仕事をやり遂げることが可能である。こうして、至る所で善良な市民のハートや心を捉えてしまうのである。ここに私のお気に入りの中からいくつかの事例を掲載してみよう。

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これはノルウェーの日刊紙「VG」とそのオンライン版で掲載された記事であって、中国人が街頭に繰り出して、「自由」と「人権」を求めている様子である。たとえノルウェー語がまったく分からないとしても、表題は「中国における革命」という言葉を伝えようとしていることを理解することは簡単だ。しかし、緑色のプラカードに注目し、中国語がお分かりであるならば、「台湾」という単語を目にし、バナーに書かれている政党のスローガンはこのデモは台湾のDPP(民主進歩党)の支持者によるものであることがすぐに分かる。それでもなお、この記事はメディアの大物によって都合よく活用され、中国では暴力的なデモが起こっていることを示す証拠として喧伝することに使われたのである。

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これはアイルランドのインデペンデント紙からの記事である。2011年2月20日の記事で、「食料が欲しい、仕事場が欲しい」と叫ぶ人々の様子を伝えている。これらのスローガンはどれもが「ごく普通の中国人」から聞こえて来る「共通の苦情」である。APによれば、この写真は「ジャスミン革命のための抗議行動を呼びかけている中、中国当局は活動家を厳しく取り締まっている」様子を示したものだ。しかしながら、不幸なことには、このロイターの写真は2010年12月24日に蘭州市(甘粛省)で行われた対日デモの際に撮影されたものであった。 

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私は次のように告げられた。この写真を台湾のリバティ・タイムズ紙の記事から取り出したのはCNNであり、彼らは中国人が街頭に繰り出し、抗議行動をし、「食料が欲しい、仕事場が欲しい」と訴えている証拠を示そうとした。しかしながら、中国語がお分かりの人が見れば、プラカードには「労働者を求む」とか「本日雇用中」といった言葉が見られ、この写真は1年以上も前に深圳で行われた「雇用フェアー」の際の写真であることが分かる。しかしながら、この写真には作り話との「編集上の関係性」があり、中国語が分かる米国人やヨーロッパ人なんてほとんどゼロである。

これは私のお気に入りだ。背景に関する話としてあなたが知っておくべき点は、冬季における北京の気候はイヌウィック程には寒くはないけれども、タヒチ程には快適ではないということだ。[訳注:「イヌウィック」はカナダのノースウェスト準州にある町で、北極圏に入る。]

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この記事はドイツ紙からである。同紙は中国の国内問題を報じ、2011年2月末、北京の王府井にあるマクドナルド店の前でデモ参加者を取り締まる警察の写真を掲載していた。不幸なことには、彼らは写真をトリミングしてしまったので、われわれは叩きのめされたデモ参加者の本当の姿を見ることはできない。ひとつには、警官たちは半袖のシャツであり、背景を見ると緑の草や綺麗な花、熱帯圏の樹木を見ることができる。これが冬の北京での写真?そんなことはあり得ない!この写真は、実際には、2005年の夏、南京の警察署の駐車場で行われた市民の騒乱を取り締まる訓練が行われた時のものだ。しかしながら、(彼らに言わせると)これもまた、編集上の関連性があるのだろう。

部分的に削除することによる嘘は依然として嘘である:

中国に関して西側で報じられる記事はでっち上げであったり、事実は見るも無残に歪曲されていたりする。あるいは、事実の一部が削除されている。これは状況を知らない読者に真実とは180度も異なる解釈をもたらすためだ。この手法は中国に関する記事だけではなく、現在「悪の枢軸」のリストに掲載されて国々のすべてについても同様である。

この連載の第1編で私は個人的な意見をベースにした記事について書いた。そういった記事はいくつかの真実と数多くの嘘を含んでおり、詳細は記載せず、基本的に非常に重要な細部を削除したりする。こういった点は読者の皆さんにとっては、実際に自分自身で調査をしない限り識別することは実に困難であることを私は指摘し、書いた。そして、ふたつの事例を挙げた。それらをここにもご紹介しておこう。

中国 ― 繁栄に向けての弱い者いじめ:

ジョン・バッシィから始めよう。彼は米国人でウオールストリートジャーナル(WSJ)の副編集長であって、フォックスニュースの解説者でもある。「中国 ― 繁栄に向けての弱い者いじめ」(3)と題されたWSJの記事でバッシィは正直さに欠け、倫理感の欠如した報道を行い、ノーベル賞を獲得した。(WSJはこの記事を削除したようだが、同記事は他のサイトに転載されており、今でも依然として入手可能である。)これがその記事の一部だ:

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「中国が今週ウオールマート・ストアをいじめるのを見、ウオールマートが叩きのめされ、ひれ伏すのを見ると、これは単純な事実を思い起こさせる。つまり、世界でももっとも急速に成長している市場である中国は米国のビジネスに対しては上手を取っている。一連の保護主義的障壁や弱い法の秩序の中、海の妖精であるサイレンのようなこの市場はある出来事をこのように展開させ、避けようのないものにしてしまう。重慶市のウオールマートの店ではオーガニックではない豚肉が「オーガニック豚肉」として販売された。これは単純な間違いだった。この間違いを除けば、豚肉は丸っきり正常であった。中国ではインフレが尻に火がついたような状況にあった時にこの間違いを摘発し、当局は通常の肉に最高級品の値札をつけて一般消費者を騙したとしてウオールマートを非難した。彼らは同社に罰金を課し、市内の13か所の店舗を閉鎖させ、何人かのウオールマートの職員を刑務所へ送り込んだ。これらの行為は全国紙でもてはやされた。このような事態が米企業に起こった場合、たとえ権力主義的な中国において頼るものがあったとしてもそれはほとんどゼロである。通常の裁判所はない。中国の国家主義的な感情に逆らった米企業の多くがそうであっように、ウオールマートができることは許しを請うだけであった。同社は中国全土でほぼ350店を運営し、75億ドルもの売り上げを誇っていた。こうして、ウオールマートはひざまずくこととなった。」彼は驚くべき主張を付け足して、その記事を閉じた。(居りもしない)米国人重役の文言を引用したのである。「北京に居る米国人の重役がこれらの出来事を見て」、ウオールマートは「同国における食料供給における安全性の確保では中国企業以上の貢献をして来た」と彼は付け足した。

われわれは皆が中国で75億ドルの売り上げを誇っているウオールマートに同情すべきではあろうが、われわれとしては法の秩序が弱い中国が国際的にも超巨大な企業をひざまずかせるためにそのような法を同時に行使できたのはいったいどうしてなのだろうか?

バッシィのストーリーは必ずしも実際に起こった物事の通りではない。ウオールマートは中国では名うての犯罪企業であり、当局は帳簿に関する法律を何年間にもわたって繰り返して違反するウオールマートとの間に大きな問題を抱えていた。これらの店舗は何年間も通常の豚肉をオーガニックと称して販売していた。犯行の都度摘発され、僅かな額の罰金が課され、最近の7か月間だけでも8回も摘発された。たとえば、彼らの悪質な姿勢はこんな具合であった。検査官が差し押さえた豚肉を持って店舗を後にするやいなや、ウオールマートの従業員は通常の豚肉にオーガニックのラベルを付ける作業ですでにてんてこまいである。それはまさにゲームそのものであった。オーガニックの小売り価格は通常品よりも何倍も高く、利潤は途方もなく大きかった。検査官からの嫌がらせは取るに足りない程度のものでしかなかった。このゲームを完全に変貌させたのは、今回は検査官たちは店舗から立ち去った後、何時もとは違う動きをして戻って来たからだ。なんと75,000キロもの通常の豚肉がオーガニックとして表示され、冷蔵庫に保管されているのを発見したのである。この時、彼らはもう我慢が出来ないと心に決め、重役たちを逮捕し、店舗を閉鎖した。しかし、WSJのバッシィによると、これは階級が低い従業員によって引き起こされた単純な「間違い」であって、いくつかのパッケージに間違ったラベル表示を付けただけであって、中国当局は「一般大衆受けのする演技」をしていると言う。そして、もちろん、中国には裁判所がないことから、ウオールマートは許しを請い、ひざまずく以外には成す術がなかった。

小さな真実に張り付けられたいくつもの嘘に注目する価値は十分にある。つまり、中国においては助けを求める術がない。通常の裁判所はなく、中国の保護主義的障壁や弱い法の秩序の中でウオールマートは大規模な詐欺行為を非難されることはなかったものの、「国家主義的感情に逆らった」ことで非難された。そして、ウオールマートは何食わぬ顔で中国の食糧補給における安全性を確保しようとしていた。

中国は人権専門の弁護士を収監:

類似した事例ではあるが、西側のメディアは中国の人権専門の弁護士が(またもや)「共産党」によって収監されたことを大袈裟に、まさに嫌になるほど報道した。表面上は人権専門の弁護士である。しかしながら、ここでも、それは実態を説明してはいなかった。

この弁護士が中国の制度について誰かの不満に関して弁護をしたことがあるというのは事実である。このストーリーは西側のメディアによって都合よく紡がれ、彼は「権威主義的な中国の独裁国家」に対して挑戦をしたことから刑務所へ放り込まれたのだとして報じられた。私は本件を追跡し、私が読んだ100個近い西側の記事の中でひとつだけが情状酌量すべき状況を仄めかしていることを発見した。たった1個の記事の、しかも、最後の文章が税金の問題をわずかに言及していたのである。「税金の問題」は微罪である。中国では領収書は幾通りにも区分けされるが、そのうちの一つの区分だけが企業経費の免税控除に活用される。西側では多くの国でキャッシュ・レジスターからの領収書でさえもが免税控除に使用されるが、中国では政府当局の印鑑が押印された公の領収書が必要となる。これらの領収書は25%の税額控除に匹敵することから、相当の価値を持っており、時には売り買いされる程だ。私が自分の会社では使えない税額控除用の領収書を持っているとしよう。額面の10%でその領収書をあなたに売り渡し、あなたは自分の会社の所得税に関して額面の15%を節税することが可能となる。

この場合、この「人権専門の弁護士」と4人の同僚たち(全員が弁護士)はそれまで何年間にもわたって税額控除のための領収書を印刷し、何の疑いも持たない企業へそれらを販売する商売を行っていた。総額で3億ドルにもなった。5人は全員が逮捕され、刑務所送りとなったが、メディアによると、リーダーの弁護士だけが裁判所ではなく、「共産党」によって収監された。また、大掛かりな詐欺行為のせいではなく、貧しく、自分ではどうすることもできないような連中を助けたことが理由であった。米国の記者はこの件でリーダー役を演じた弁護士の顧客の記録をくまなく探して、ついにこの人物を人権の専門家とするのに恰好な、小さな民事事件を探し当てたのである。彼らはこの件を中心に据えて、彼らのストーリーを組み立てたのである。

カナダの二人のマイケル ― マイケル・コヴリグとマイケル・スペイヴァー:

次は二人のカナダ人に関する奇妙なストーリーだ。一人は「元外交官」で、もう一人は「ビジネスマン」である。二人とも逮捕され、スパイ罪で中国で刑務所へぶち込まれた。(4) (5) (6) カナダのナショナルポスト紙によると、「二人は逮捕されるまではそれぞれ異なる分野で成功裏に仕事をしていた。」さらには、「逮捕された時点ではコヴリグは北東アジアにおいて国際危機グループのために日夜働いていた。香港を拠点として、中国とその近隣の国家との間の緊張を和らげることが彼の仕事であった。そして、世界において拡大し続ける中国の役割について新たな、かつ、独立した観点から評価することも彼の仕事であった。」ここで、私には疑問が浮かんで来た・・・。 

カナダのジャスティン・トウルードー首相はこの二人は中国によって「恣意的に」拘束されたが、これはカナダ当局がフアーウェイの孟晩舟を逮捕したことに対する報復のようである。彼女は2年後の今でも逮捕状もなしに拘束されたままである。国際的な抗議の声は耳をつんざくばかりだ:

* 19か国から 200人を超す著名な政治家、元外交官、学者、研究所長、等がカナダのグローブアンドメイル紙上でマイケル・コヴリグとマイケル・スペイヴァーの二人を釈放するよう中国の習近平主席に求めた。

* 米国の対外政策を専門とするシンクタンク、独立支援組織ならびに学術研究所からの15人の指導者たちが3月10日に合同声明を発表し、コヴリグを速やかに釈放するよう求めた。

* 60人のオーストラリア人の学者や分析の専門家たちが公開状を発して、拘束されているこれら二人を速やかに釈放するよう求めているカナダ政府の姿勢をオーストラリア政府が遅滞なく支持するよう要請した。

* ベルリンに拠点を置くむっつの政策研究所の所長らが合同声明を発表した。

自分たちの「資産」を守ろうとする何らかの強力な既得権がない限りは、このような声高な雑音を張り上げようとする者は、通常、誰もいない。

この事例にはスパイ罪という微妙な側面が付いて回り、公開された情報はほとんどゼロであったのだが、ほんの僅かであっても調査を行い、論理を働かせて考えてみると、事実情報の欠如に代わって何かが見え始める。第一に、骨組みに注目してみよう。コヴリグは決して「外交官」ではなかったが、中国と香港との間で低レベルの領事関連の問題や騒動を引き起こす役割を担っていた。肩書とは異なる行動をすることから、彼は中国当局の関心を引いていた。第二に、コヴリグは香港にある「国際危機グループ」へ移動するために突然自発的に休暇を取った。これは自由な行動をするためのものであって、間違いなくカナダ政府との共謀であった。このグループはブリュッセルに本拠を置いた非政府組織であって、「より平和な世界を築く」ために働き、国際的な危機を予防すると自称しているが、実際には危機を引き起こしているようである。西側の政府やジョージ・ソロスといった人物から資金提供を受け、世界の平和を求める組織として仮装した一種のカラー革命集団である。

次に、何の関連資格さえも持ってはいない下っ端のカナダ領事館の職員がどうして「ワシントンと平壌との間の緊張を和らげる」といった職務を米国人から与えられるのであろうか?特に、これはワシントン政府が、それと同時に、緊張を高めていた時の話である。また、同組織のウェブサイトによると、彼は中国とその近隣諸国との間の緊張を和らげる任務も与えられていた。これは高卒の職員とかではなく、スーパーマンにこそ与えるべき任務のように思えるのだが。米国とヨーロッパのディープステーツによって費用が支払われており、彼らの唯一の企みはできる限り多くの緊張を引き起こすことであるということが丸見えである時にこの男性の職務は中国とその近隣諸国との間の緊張を和らげることであると言う。いったい誰に信じて貰えるのであろうか?

スペイヴァーは「北朝鮮と太いパイプを持っているビジネスマン」として描かれ、鎖国状態にある国家との国際的関係の開始に焦点が当てられ、北朝鮮との「平和や友好および理解」の推進に関心が寄せられた。間違いなく、このようなストーリーを信じる者は世界中で何処にも存在しない ― 少なくとも、カナダ以外には。

既に言及したように、公聴会や裁判は厳重な制約を受けており、外国の領事や法的代理者のアクセスは許可されないことを除けば、この案件についての事実関係はほんの僅かの情報が表面化しただけである。微妙なスパイ行為が絡んでいる場合、このような状況は典型的に起こることだ。つまり、状況を説明するために詳細事項が開示される法廷の一室に敵国の政府関係者が招じ入れられることは決してないのだ。しかしながら、小さな詳細事項がリークした。それはスペイヴァーが行った「調査」には何個かの携帯電話をプラスチックやゴムのシートで包み、中国と北朝鮮の国境沿いに流れている小さな川の堤に生えている特定の樹木の根元へそれらを埋めたという事実が含まれていた。

これら二人の男性は間違いなく同一の組織のために仕事をしており、お互いに秘密の情報を提供し合い、ふたつの朝鮮国家の間に何らかの爆発を引き起こすといった計画のために働いていたことがほとんど確実である。そうすることによって、最終的に米国は中国との国境に直接米軍と武器を終結させることが出来るのである。さらには、カナダ人や全世界の人々が想像するほどには道徳的に純粋ではないカナダ政府の共謀も実に明白である。

私のファイルにはこういったストーリーが1000件近くも収集されており、ふとどきにも誰もが説明責任については極めて不正直である。西側の人たちは、まさにこれらの事例のように、自分たちがもっとも信頼を置いているメディアからの情報提供だけに依存している時、中国に関する案件について正確に理解することなんていったい可能なのであろうか?

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著者のプロフィール:ロマノフ氏の記事は32か国もの言語に翻訳されており、30か国以上で150もの外国語のニュースや政治関連のウェブサイトに掲載され、100以上の英語のプラットフォームにも掲載されている。ラリー・ロマノフは退職後はマネジメントについてのコンサルタント役を担い、ビジネスマンでもある。彼は国際的なコンサルタント企業の上級経営者であったし、国際的な輸出入企業を所有していた。彼は上海の復旦大学の客員教授を務め、経営者のためのMBAクラスで国際関係に関する事例研究の教授をしていた。ロマノフ氏は上海に住み、現在、中国と西側に関する連載物で10冊の本を書いている。彼はシンシア・マッキニーの「中国がクシャミをする時」と題された新しい選集の著者の一人である(第2章の「悪魔とのやり取り」)(Chapt. 2 — Dealing with Demons)。

彼のアーカイブのすべては https://www.moonofshanghai.com/ ならびにhttp://www.bluemoonofshanghai.com/にて閲覧することができる。

彼との交信は: 2186604556@qq.com

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参照:

(1) https://www.moonofshanghai.com/2020/04/tiananmen-square-failure-of-american.html

(2) https://www.theguardian.com/world/2011/feb/27/china-jasmine-revolution-beijing-police

(3) https://muckrack.com/john-bussey

(4) https://www.crisisgroup.org/who-we-are/people/michael-kovrig

(5) https://nationalpost.com/news/canada/who-are-michael-kovrig-and-michael-spavor

(6) https://globalnews.ca/news/4751174/michael-kovrig-arrested-china/

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これで全文の仮訳は終了した。

冒頭で私は「9/11事件以降、われわれ一般大衆は学習効果によって世間の出来事の背景にある本当の姿を以前よりも正確に見通すことができるようになった」と書いたが、正確な記述ではなかったと思う。

結局、世間の出来事の背景にある本当の姿を以前よりも正確に見通すことができるようになった原動力は、おそらくは、日常生活におけるインターネットの存在であろう。あらゆる情報がパソコンを通じて誰にでも入手できるようになったからだ。昔も情報の操作や隠ぺいがあったことは想像に難くない。ただ、当時は一般庶民が直接詳しく知る術が身近には無かった。人の行動や思考のパターンはそう簡単には変わらず、大きく変貌したのはむしろ社会の在り方のほうであった。つまり、情報化社会の到来のせいであろう。

著者のラリー・ロマノフは「自分たちがもっとも信頼を置いているメディアからの情報提供だけに依存している時、中国に関する案件について正確に理解することなんていったい可能なのであろうか?」と言っている。これは日本人の誰にも当てはまる言葉であろうと思う。ましてや、中国を叩くことが当たり前のことのように受け止められている昨今、そういった空気に蔓延した日本に住んでいるわれわれ一般庶民にとっては著者の言葉によって鋭利なナイフを脇腹に突きつけられたような感じがする。

誰もが合気道の名手であるならば、突きつけられたナイフは簡単に捌いて見せることであろうが、日本は今かなり難しい局面に見舞われていると私は言いたい。中国の本当の姿をわれわれは必ずしも正確に理解してはいないとしたら、その結果もたらされる状況はドカ貧となるかも知れないからだ。

 

参照:

1:Propaganda and the Media – Let’s Tell Some Lies – Part 5: By Larry RomanoffThe Saker, June/13/2021